特定技能2号 N3の落とし穴 — 95点合格でもCEFRはA2
合格ラインは95点。でも要件を満たすのは104点から

先に答え
- 政府の案内サイトが、政府自身の改正に追いついていません。特定技能総合支援サイト(ssw.go.jp)どおりにそろえると、飲食料品製造業とビルクリーニングの2号は、2027年4月1日以降の申請で書類が1枚足りなくなるおそれがあります。
- 抜けるのは日本語能力試験(JLPT)N3の合格証明書の写しです。2026年(令和8年)8月28日、要領別冊の一部改正で両分野の2号の提出書類に加わりました。求められるのは2027年4月1日以降です(取扱いは別途お知らせ)。
- N3に受かっただけでは足りないことがあります。別冊の但し書きは「CEFRのB1相当以上を判定された場合に限る」。合格ラインは95点、B1が付くのは104点からです。
- まず、2号へ移行する予定の人のJLPTの書類(原本または写し)を確認し、総合得点が104点に届いているか確かめてください。
この記事の問いは、N3の合格点(95点)とCEFR B1(104点から)の差です。分野ごとの日本語要件の一覧は「特定技能2号の日本語要件は、分野によって違います」にあります。
2026年8月28日の改正で変わったこと
2026年8月28日、出入国在留管理庁が分野別の別冊(以下、要領別冊)を一部改正し、飲食料品製造業とビルクリーニングの2号の人材基準に日本語能力水準(JLPT N3以上)が加わりました。同じ別冊の注記で、求められるのは2027年4月1日以降とされています(取扱いは別途お知らせ)。「技能試験と実務経験だけ」という説明に、無理はありません。少し前まで、そう読める資料しかなかったからです。
分野別の2号の日本語要件(2026年9月8日時点)
| 分野 | 2号の日本語要件 | 出典(要領別冊の版) |
|---|---|---|
| 飲食料品製造業 | JLPT N3以上(CEFRのB1相当以上の判定が必要)が2027年4月から必要(取扱いは別途お知らせ) | 令和8年8月28日一部改正 |
| ビルクリーニング | JLPT N3以上(CEFRのB1相当以上の判定が必要)が2027年4月から必要(取扱いは別途お知らせ) | 令和8年8月28日一部改正 |
| 航空 | JLPT N3以上(CEFRのB1相当以上の判定が必要)が2027年4月から必要(取扱いは別途お知らせ) | 令和8年7月17日一部改正 |
| 工業製品製造業 | JLPT N3以上(CEFRのB1相当以上の判定が必要)が2027年4月から必要(取扱いは別途お知らせ) | 令和8年6月25日一部改正 |
| 外食業 | JLPT N3以上。CEFRの但し書きは付かない | 令和7年5月30日一部改正。要件自体は令和5年8月31日の版から |
| 漁業 | JLPT N3以上。CEFRの但し書きは付かない | 令和6年2月15日一部改正 |
| 建設 | 2号の日本語能力水準の記載が別冊にない | 令和7年1月31日一部改正。以後の改正なし |
表の7分野は2026年9月8日に別冊を開いて確かめました。記載があった6分野は、いずれも【確認対象の書類】に合格証明書の写しが挙げられています(建設は記載なし)。2026年9月16日に2号のある分野を全部確認し、N3が要件なのはこの6分野、記載がないのは建設・造船・舶用工業・自動車整備・宿泊・農業でした。2026年10月4日に改めて確認し、外食業・漁業以外の4分野で求められるのは別冊の注記で2027年4月1日以降であることを確かめました。出典:出入国在留管理庁 分野別の運用要領別冊(2026年9月8日・9月16日にPDFを取得して確認)。
建設の書き方が違う理由
建設の行だけ書き方が違うのは、別冊と閣議決定で割れているからです。閣議決定「分野別運用方針」(令和8年1月23日)は、調べた5分野すべての2号にB1相当以上を定めています。
総合支援サイトを見て起きる、よくある間違い
よくある間違いは、特定技能総合支援サイト(ssw.go.jp)の2号ページだけを見て書類をそろえ、JLPTの合格証明書の写しが抜けることです。開いて確かめた範囲では、2026年9月8日時点でもこのサイトに日本語能力水準の項がありません。ビルクリーニング・飲食料品製造業・工業製品製造業・航空・建設の5ページです(外食業と漁業には載っています)。
要領別冊の開き方
書類は要領別冊に合わせてください。同庁の「特定技能運用要領」のページから、自社の分野の「本文・別表」を確認できます。
N3合格だけでは足りない条件(95点と104点)
足りないのは、総合得点95〜103点での合格です(CEFRの参考表示がA2になるため)。
別冊の但し書き
飲食料品製造業の別冊は、【確認対象の書類】にこう書いています。「日本語能力試験(N3以上)の合格証明書の写し(CEFRのB1 相当以上を判定された場合に限る。)」
つまり:合格証明書があるだけでは足りず、CEFRでB1と判定されている必要があります。
N3の得点とCEFRの参考表示
JLPTは2025年第2回(12月)試験から、成績書類にCEFRレベルを参考表示しています。N3は合格点の95点から103点までがA2、104点以上がB1です。
例)N3に98点で受かった人の扱い
例)飲食料品製造業の工場で2号を目指すグエンさん(仮名)。2025年12月のN3に98点で合格しました。合格証明書が届きます。ところが成績書類の参考表示はA2。別冊の但し書きを満たさないので、N3を再受験して104点以上を取るか、N2に合格する(N2は合格点の90点でB1以上)必要があります。落ちたわけではないのに、次の機会まで半年空きます。
総合得点だけを見ていると、区分ごとの基準点を落とします。得点区分は3つです。
- 言語知識(文字・語彙・文法)
- 読解
- 聴解
1つでも基準点に届かなければ不合格の扱いで、CEFRレベルは表示されず「*」が入ります。
代わりの試験もありません。この2分野の別冊で2号に並ぶのはJLPT N3以上だけ(1号はJFT-Basic A2.2相当以上とJLPT N4以上)。技能実習2号を良好に修了していても免除はありません(ビルクリーニングの別表は2号の欄が「―」)。
確認できていないこと(2026年9月8日時点)CEFRの参考表示が載るのは成績書類です。別冊が求めるのは合格証明書の写しで、証明書に表示が載るかは公表されていません。参考表示が始まった2025年第2回より前に合格した人の扱い、どの時点の申請から適用されるか、すでに2号で在留している人の更新も、原文にありません。移行申請を準備中なら、管轄の地方出入国在留管理局にご確認ください。
その場で体験
JLPT N3 — 実際の模試から3問(文字・語彙/文法・読解/聴解)
文字・語彙 / 1問目(全3問)
2027年4月1日からどうなるか
| いつ出す申請か | 日本語をどう示すか |
|---|---|
| いま | 求められていない(別冊の注記で2027年4月1日以降) |
| 2027年4月1日以降 | 参照枠のB1相当以上(要件欄はN3の合格証明書の写し・B1=104点以上)。取扱いは別途お知らせ |
別冊の注は、こう書いています。「令和9年4月1日以降、特定技能2号においては『日本語教育の参照枠』B1相当以上が求められますが、その取扱いについては別途お知らせします」
つまり、この日以降はB1相当を参照枠で確認する、その示し方は追って知らせる、という予告です。
日本語に経過措置はあるか
経過措置も当てにできません。開いた5分野の別紙で「第四 経過措置」を持つのは飲食料品製造業だけ。対象は技能水準と業務区分。日本語能力水準は入りません。
別冊に記載のない建設のような分野でも、遅くともこの日が起点と見込まれます。別冊の改正が先に来ることもあります。同庁の「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年7月1日更新)6ページは、2号の日本語能力水準を「試験(B1相当以上)で確認」とし、令和9年4月1日から省令が施行予定と書いています。
準備の手順
2号へ移行する予定の人が持っているJLPTの成績書類(原本または写し)を確認してください。
社内の目標点は104点に置き直す
社内の目標点も、95点から104点へ置き直してください。「合格」を目標にした半年と、104点を目標にした半年では、必要な学習量や教材のレベルが変わります。
研修費に助成金が使えるかは「日本語教育に人材開発支援助成金は使えるか」で整理しています(語学だけの講座は対象外の例示あり。可否は労働局)。
技能試験の勉強と日本語の勉強を、別の担当に振り分けないでください。会社として合格まで支える計画の中で一体にするほうが近道です。他分野は分野別の日本語要件、省令はB1必須化(2027年4月予定)に。N3のレベルは、上に置いた3問で確かめられます。
社内に共有するなら、この3行1. 2026年8月28日の要領別冊の改正で、飲食料品製造業とビルクリーニングの2号にJLPT N3が要件に加わりました(求められるのは2027年4月1日以降・取扱いは別途お知らせ)。2. 政府の総合支援サイトにはまだ載っていません。書類は要領別冊に合わせます。3. N3は合格(95点)では足りないことがあります。CEFRのB1が付くのは104点から。目標点は104点に。
出典(22件)
- [1]出入国在留管理庁 ビルクリーニング分野の基準についての一部改正 新旧対照表(令和8年8月28日・2号にJLPT N3以上を新設・PDF・2026年9月8日確認)
- [2]出入国在留管理庁 飲食料品製造業分野の基準についての一部改正 新旧対照表(令和8年8月28日・同上・PDF・2026年9月8日確認)
- [3]出入国在留管理庁 飲食料品製造業分野 要領別冊(令和8年8月28日一部改正・確認対象の書類に合格証明書の写し・PDF・2026年9月8日確認)
- [4]出入国在留管理庁 ビルクリーニング分野 要領別冊(令和8年8月28日一部改正・別表の免除欄は「―」・PDF・2026年9月8日確認)
- [5]出入国在留管理庁 航空分野 要領別冊 一部改正 新旧対照表(令和8年7月17日・2号にJLPT N3以上を新設・PDF・2026年9月8日確認)
- [6]出入国在留管理庁 航空分野 要領別冊(令和8年7月17日一部改正・2号にJLPT N3以上・PDF・2026年9月8日確認)
- [7]出入国在留管理庁 工業製品製造業分野 要領別冊 一部改正 新旧対照表(令和8年6月25日・PDF・2026年9月8日確認)
- [8]出入国在留管理庁 工業製品製造業分野 要領別冊(令和8年6月25日一部改正・2号にJLPT N3以上・PDF・2026年9月8日確認)
- [9]出入国在留管理庁 外食業分野 要領別冊(令和7年5月30日一部改正・2号に日本語能力試験N3以上・PDF・2026年9月8日確認)
- [10]出入国在留管理庁 漁業分野 要領別冊(令和6年2月15日一部改正・2号に日本語能力試験N3以上・確認対象の書類に合格証明書の写し・PDF・2026年9月8日確認)
- [11]出入国在留管理庁 建設分野 要領別冊(令和7年1月31日一部改正・2号の日本語能力水準の記載なし・PDF・2026年9月8日確認)
- [12]特定技能の分野別運用方針 別紙15 飲食料品製造業(令和8年1月23日閣議決定・第四 経過措置は技能水準と業務区分のみ・PDF・2026年9月8日確認)
- [13]特定技能の分野別運用方針 別紙5 建設(令和8年1月23日閣議決定・2号に参照枠B1相当以上・PDF・2026年9月8日確認)
- [14]出入国在留管理庁「特定技能運用要領」(分野別の要領別冊=各分野の「本文・別表」の一覧・2026年9月8日確認)
- [15]出入国在留管理庁「基本方針・分野別運用方針・運用要領」(分野別運用方針の別紙・分野別運用要領の廃止日一覧・2026年9月8日確認)
- [16]出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年7月1日更新・6ページに「試験(B1相当以上)で確認」「令和9年4月1日から、当該日本語能力水準に係る省令が施行予定」・PDF・2026年9月8日確認)
- [17]日本語能力試験 JLPT 公式サイト「CEFRレベルの参考表示について」(2025年第2回試験から・参考表示は「成績書類」に記載・2026年9月8日確認)
- [18]日本語能力試験 JLPT 公式サイト「得点区分・合否判定・結果通知」(N3の得点区分は「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の3区分・2026年9月8日確認)
- [19]日本語能力試験 JLPT 公式サイト「日本語能力試験について」(国内は年2回・「海外では、7月の試験だけ行う都市や、12月の試験だけ行う都市があります」・2026年9月8日確認)
- [20]国際交流基金「日本語教育通信」日本語教育ニュース(2026年1月・N3は95〜103点がA2・104点以上がB1・不合格者は「*」表示・2026年9月8日確認)
- [21]出入国在留管理庁 特定技能総合支援サイト ビルクリーニング分野 特定技能2号(人材基準に日本語能力水準の項がない・2026年9月8日確認)
- [22]出入国在留管理庁 特定技能総合支援サイト 漁業分野 特定技能2号(技能水準に「日本語能力試験(N3以上)」の記載あり・2026年9月8日確認)
よくある質問
Q.支援機関からは日本語試験は要らないと聞いていました
飲食料品製造業とビルクリーニングの2号では、2027年4月1日以降は必要です(取扱いは別途お知らせ)。2026年8月28日の運用要領別冊の一部改正で、両分野の2号にJLPT N3以上が入りました。総合支援サイトは未反映なので、書類は要領別冊で確かめてください。
Q.うちの社員はもうN3を持っているのですが、これで大丈夫ですか
総合得点が104点に届いていなければ足りません。合格の95〜103点はA2で、CEFRのB1が付くのは104点からです。3区分の基準点も落とせません。
Q.建設の2号にもJLPT N3は必要ですか
要領別冊に2号の日本語能力水準の記載はありません。ただし閣議決定の別紙は2号にB1相当以上。改正を待たずに準備してください。
改訂履歴(8件)
- 2026年9月8日 — 公開
- 2026年9月8日 — 一次資料を読み直して4点を訂正(航空も令和8年7月17日の一部改正で同じN3要件/特定技能総合支援サイトでN3が載っているのは外食業と漁業のページ/JLPTの得点区分名は「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」/ビルクリーニング2号評価試験の出題形式)
- 2026年9月8日 — 図解と写真を足し、本文を短くした。95点で合格した人の具体例と、N3の書類をどう見るかの分岐図を追加(事実の変更なし)
- 2026年9月9日 — 小見出しを足して目次から探せるようにし、模試の体験を本文の中へ移した。検索結果に出る説明文も短くした(事実の変更なし)
- 2026年9月24日 — 2026年9月16日に2号のある分野を全部確認した結果(N3は6分野・記載が無いのは建設・造船・舶用工業・自動車整備・宿泊・農業)を反映し、見出しの「建設だけ」を直した。各節とFAQの答えを結論から書き出すようにした
- 2026年9月28日 — 校正者による校正を反映(21か所)
- 2026年10月4日 — 2号の日本語要件の適用時期(4分野は2027年4月以降)を運用要領別冊の注記で確認し訂正
- 2026年10月8日 — 冒頭に、この記事の問い(N3の合格点とCEFR B1の差)を書き、分野ごとの要件の一覧は日本語要件の早見表へのリンクで渡した
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