特定技能2号の試験対策、どう選ぶか — 比較の4つの軸と見積もりの質問リスト
先に答え
- 特定技能2号の試験対策は、形がばらばらです。オンライン授業もあれば、eラーニングや教材の販売もあり、人材紹介とセットになったものまであります。何と何を比べているのか、分からなくなりがちです。
- 見積もりの数字も、そのままでは比べられません。1名あたりで見積もる会社もあれば、10名までを一括にしたコース単位で見積もる会社もあります。人数で単価が変わる場合もあります。
- 判断の軸は、何を買うか、料金の単位、学習が続く仕組み、教材の言語の4つです。特定のサービス名は出しません。見積もりを取るときにそのまま使える質問リストは、最後に置いています。
この記事は、試験対策のサービスを選ぶときの比べ方と質問リストです。日本語教育の方法の比較は「特定技能人材の日本語教育の選び方」、社内での進め方は「特定技能2号に会社として合格させる方法」にあります。
2号の試験対策は、制度上どこにも担当者がいない
2号の試験対策は、登録支援機関の義務に入っていません。「登録支援機関がやってくれるのでは」と考える方は多いでしょう。ですが、制度はそうなっていません。
- 支援の義務があるのは特定技能1号だけです。支援計画の制度上の名称も「1号特定技能外国人支援計画」で、2号には支援計画そのものが必要ありません。
- 1号の義務的支援は10項目あり、その1つが「日本語学習の機会の提供」です。出入国在留管理庁の説明では、中身は「日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等」です。義務は情報の提供や手続きの補助で満たせます。講習の実施や、入学金・月謝などの学費の負担は必須ではありません
- 2号の試験対策は、会社が自社で用意するか、外部に頼むかのどちらかです
どこまでを外部に頼むかは、自社で決めることになります。
軸1 何を買うのか。授業か、教材か、続ける運用か
最初に確かめるのは、何を買うのかです。同じ「試験対策」でも、中身は授業・教材・学習を続ける運用の3種類に分かれます。
| タイプ | 買っているもの | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 授業型 | 講師が教える時間(オンライン/対面・回数と時間数で価格が決まる) | 自社に教える人がいない。まとまった時間を確保できる | 授業の外(復習)は本人任せになりやすい。シフト勤務だと出席が崩れる |
| 教材型 | 動画やテキストなどの学習コンテンツ | 本人の学習意欲が高い。単価を抑えたい | 視聴したか・覚えたかを会社が把握しにくい |
| 運用型 | 教材に加えて、毎日の学習を続ける仕組みと、止まった人への働きかけ | 現場と両立させながら期限までに仕上げたい | 会社側にも最低限の協力(日程調整・声かけ)が必要 |
実際は組み合わせで提供されることが多いので、授業の時間数に加えて「授業の外で何が起きるか」も必ず聞いてください。
軸2 料金は「単位」をそろえないと比べられない
見積もりは、単位をそろえてから並べます。確かめるのは4点です。
- 1名あたりか、コース単位(何名まで含むか)か。ここが違うと、同じ総額でも意味がまったく変わります
- 人数で単価が変わるか。人数が増えるほど1名あたりの単価が下がる料金体系は、珍しくありません。その場合、少人数の会社ほど割高になります
- 期間はどれくらいか。総額が同じでも、3か月と8か月では1か月あたりの負担が違います
- 含まれないものは何か。受験料・教材費・模試・途中で不合格だった場合の再受講が、それぞれ別料金かどうかで総額が変わります
料金を公開していない会社もあります。私たちもそうです。その場合は「同じ人数・同じ期間・同じ範囲」で見積もりをそろえてもらうのが確実です。
費用の面では、定額制(サブスク型)の研修は、人材開発支援助成金の対象になる場合があります。条件と語学の扱いは「日本語教育に人材開発支援助成金は使えるか」にまとめています。
軸3 学習が「続く」仕組みがあるか
外国人材の教育で最も多い失敗は、途中で止まることです。シフトで働く人は、机に向かう時間をまとめて取りにくいものです。繁忙期に一度途切れると、学習はそのまま再開されません。
委託先に聞くべきは「止まった人はどうやって分かりますか」です。
- 学習したかどうかが、会社側から見えるか(日次で分かるか、月次の報告だけか)
- 試験当日に問題が解ける状態かどうかを、途中で確かめられるか。学習時間は積み上がっているのに模試の点が伸びない、というつまずきはよくあります。
- 止まった人に誰が声をかけるか。会社の担当者か、委託先か。ここが曖昧なまま始めると、結局は誰もやりません。
会社の側で何を見て、いつ声をかけるかは「特定技能2号に『会社として』合格させる方法」で具体的に書いています。
軸4 試験の日本語に、教材の言語が合っているか
試験問題の漢字にふりがなが付くかどうかは、分野によって違います。見落としやすい点です。
- 外食業・飲食料品製造業の2号試験は、試験案内に「漢字にふりがなは付いていません」と明記されています。学習用の公式テキストにはふりがなが付いているので、「テキストは読めるのに本番の問題が読めない」という段差が生まれます。
- 建設の2号評価試験は、2025年4月以降、問題にふりがなが付いています(JACのメール回答・2026年7月29日)
- ビルクリーニングは問題にふりがなが付きますが、実技は日本語で書く記述式です。読めることと書けることは別です。
- 介護福祉士国家試験は、外国籍の方が申請すれば、全漢字にふりがな付きの問題用紙と1.5倍の試験時間で受けられます。
自社の分野がどれに当たるかは、日本語要件の分野差をまとめたページで確かめられます。教材については、母語に対応しているか、本番と同じ条件(ふりがなの有無)で練習できるかを聞いてください。自社の分野の教材がすでにあるのか、これから作るのかも確かめておくと安全です。これから作るなら、教材が使えるようになる時期によって、受験日から逆算した計画が変わります。
「合格率◯◯%」をどう読むか
合格率は、誰が・何回受けた数字かで大きく変わります。数字そのものより、その前提を次の3点で確かめてください。
- 誰が受けた数字か(母集団)。受験者を絞り込めば率は上がります。自社の従業員と近い日本語力の人たちの数字かどうかを見てください
- 1回目の合格率か、複数回の受験を含む累計か。特定技能の技能試験は再受験ができるため、累計と初回では数字が大きく変わります
- 前提になっている学習時間。何時間の学習でその率なのか。自社の勤務実態で、その時間を確保できるか
公表されている分野別の合格率には大きな幅があり、私たちが確かめた範囲では、同じ分野でも実施時期によって数字が大きく動いていました。ある回の数字だけを、その分野の合格率として扱うのは適切ではありません。私たちが自社サービスの合格率を掲げていないのも、このためです。分野ごとの試験の形式と難しさは「特定技能2号の試験は難しいのか」で比べています。
私たちの考え方: 合格率の数字を比べるより、自社の従業員に模試を受けてもらって現在地を測るほうが、確かな判断材料になります。
見積もりを取るときの質問リスト
複数の会社に同じ7つの質問をすれば、単位のそろった比較ができます。
- 1. 料金は1名あたりですか、コース単位ですか。人数が変わると単価は変わりますか?
- 2. 期間はどれくらいで、その間の授業や学習は合計何時間を想定していますか?
- 3. 受験料・教材費・模試・再受講は、料金に含まれますか?
- 4. 学習が止まっている人は、誰が、どうやって把握しますか。会社側からも見えますか?
- 5. 教材は本人の母語に対応していますか。本番と同じ条件(ふりがなの有無)で練習できますか?
- 6. 自社の分野の教材は、すでにありますか。ない場合はいつ使えるようになりますか?
- 7. 会社側がやらなければならないことは、具体的に何ですか?
契約後に認識がずれやすいのは4番と7番です。「手間はかかりません」という説明だけで進めず、日程調整や声かけを誰が担当するかまで詰めておいてください。
参考: 私たちの場合
Monoxer GOは運用型です。土台は記憶定着アプリMonoxer(モノグサ株式会社・累計学習回数84億回)で、ここに分野別の教材と本番の形式に合わせた模試を載せています。そのうえで、1日15〜25分の学習を毎日続けてもらいます。記憶度(解答の履歴から推定した、憶えている度合い)などの学習ログを会社と一緒に見て、止まった人への働きかけまで含めて運用します。
- 対応: 特定技能2号(建設・外食業・飲食料品製造業ほか)と介護福祉士国家試験
- 教材の言語: ベトナム語・ミャンマー語・インドネシア語・ネパール語(分野・教材により準備期間をいただきます)
- 期間: 最短3か月〜。介護福祉士は教材量が約2倍で試験が年1回のため、最短6か月〜。いずれも現在の日本語力によります
- 料金: プランは2つで、人数・分野に応じた個別のお見積もりです。概算は資料でご案内しています
合格率は掲げていません。代わりに、資料請求・ご相談をいただければ、御社の従業員の方に模試を受けてもらい、現在地を測るところからご提案します(無料)。
出典
- [1]出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(義務的支援10項目・「日本語学習の機会の提供」の内容・2026年8月確認)
- [2]出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」((5)日本語学習の機会の提供・義務的支援の3つの方法と任意的支援・令和7年4月1日一部改正・PDF・2026年9月25日確認)
- [3]OTAFF 外食業 特定技能2号 評価試験(試験案内・漢字にふりがなは付かない旨・2026年8月確認)
- [4]国土交通省「建設分野特定技能2号評価試験 試験実施要領」(試験言語は日本語・CBT方式・PDF・2026年8月確認)
- [5]全国ビルメンテナンス協会「在留資格『特定技能2号』」(実技は記述式・ふりがなあり・2026年8月確認)
- [6]社会福祉振興・試験センター 介護福祉士国家試験(ふりがな付き問題用紙と試験時間1.5倍の申請・2026年8月確認)
見積もりの前に、建設2号の模試を2問解いてみる
何を覚える必要がある試験なのかを先に見ておくと、見積もりの読み方が変わります。下は建設2号の模擬試験からの抜粋で、学科が1問、写真を見て判断する実技が1問です。
その場で体験
建設 特定技能2号 — 実際の模試から抜粋(実技は写真つき)
学科 / 1問目(全2問)
よくある質問
Q.登録支援機関に2号試験の対策も頼めますか?
機関によって違います。2号の試験対策は義務ではないためです。支援計画が必要なのは特定技能1号だけで、2号には支援計画そのものが必要ありません。1号の義務的支援にある「日本語学習の機会の提供」も、出入国在留管理庁の説明では日本語教室等の入学案内や教材の情報提供です。試験対策の実施までは求められていません。対応できるかは個別に確かめてください。
Q.料金を公開していないサービスは、どう比較すればいいですか?
同じ条件で見積もりをそろえるのが確実です。人数・期間・含まれる範囲(受験料・模試・再受講の有無)を指定して依頼してください。「1名あたりか、コース単位か」「人数で単価が変わるか」は必ず確かめてください。この記事の質問リストをそのままお使いいただけます。
Q.合格率が高いサービスを選べばよいのでは?
数字の前提をそろえてから比べてください。見るのは、誰が受けた数字か(母集団)、1回目の合格率か累計か、前提の学習時間は何時間か、の3点です。
Q.自社でやる場合と外部に頼む場合、どちらがよいですか?
教材を用意できるか、続ける運用を担えるかの2点で決めると整理しやすくなります。特定技能2号の試験は過去問が公表されず、問題も持ち帰れません。そのため、出題傾向を自社で追い続けるのは負担が大きくなります。一方、日々の声かけは社内のほうが機能する場合もあります。分担を整理したうえで、依頼する範囲を決めてください。
Q.介護の場合も同じ選び方でいいですか?
軸は同じですが、制度が違います。介護分野に特定技能2号はなく、長く働き続けるための道は介護福祉士国家試験です。試験は年1回(毎年1月)で出題範囲も広いため、期間の考え方が変わります。依頼先が介護福祉士国家試験に対応しているかも、特定技能2号とは別に確かめてください。
改訂履歴(5件)
- 2026年8月13日 — 公開
- 2026年9月24日 — 料金の節に定額制訓練(人材開発支援助成金)の記事への案内を追加。本文を一文一義に直し、各節の書き出しを見出しへの答えにした。『会社として合格させる方法』『試験は難しいのか』への案内を追加。本文を一文ずつ読み直し、長い修飾や括弧に詰め込んだ条件、線表・律速などの語を直して、CBT・記憶度などに説明を付けた。模試の抜粋の問題数を実際の数に合わせた
- 2026年9月25日 — 一次資料と1文ずつ照らし直し、3件を直した(1号の日本語学習支援を「情報を渡すことまで・費用負担なし」としていたのを、支援運用要領どおり情報提供や手続の補助で満たせ、学費の負担は必須でない、に訂正し出典を追加/国交省の試験実施要領にない振り仮名の説明を出典から外した/OTAFFの2号試験名を「評価試験」に訂正)/建設のふりがなに根拠(JACのメール回答・2026年7月29日)を添えた
- 2026年9月30日 — 校正者による校正を反映(28か所)
- 2026年10月8日 — 冒頭に、この記事はサービスを選ぶときの比べ方と質問リストだと書き、日本語教育の方法の比較・社内での進め方の記事へのリンクを置いた
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