特定技能2号の誓約書 — 対象者0名になる4条件
入管が確認しに来るのは、2号が「経験の長い1号」ではなく「指導する人」であること。8月20日に増えた1枚は、それを紙で示させる様式です。

30秒版
- 2026年8月20日以降の在留諸申請から、参考様式第1-32号「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」が要ります。交付・変更だけでなく更新でも。
- 書けるのは、指導している相手を4つの条件で絞ったあとに残る人だけ。頭数はそのまま対象者数になりません。
- 様式に出るのは日々の配置です。申請の直前には用意できません。記載が実際と違えば在留資格の取消し、虚偽なら特定技能所属機関の欠格事由に当たります。
- まず、いま指導している人を4つの条件で絞って、対象者が何人残るか数えてください。
参考様式第1-32号とは(2026年8月20日から)
法改正ではありません。運用要領の8月20日付の一部改正と、参考様式の新設です。入管庁の周知文書(令和8年8月5日付)が「8月20日(木)以降については…ご提出いただくこととなります」と告知しただけなので、ニュースになりにくい。提出書類一覧表の8月20日改定版は、在留期間更新許可申請用にも「○」で載せています。
周知文書が挙げている理由は一点だけです。「…業務内容の違いや、2号特定技能外国人から指導を受ける対象者等を確認するため」。新旧対照表の改正23項目のうち、2号に関わるのは2項目です。
提出までの流れ
ステップ1 指導している人を洗い出す
2号の候補者が誰を指導しているかを名簿にします。相手が外国人なら在留カード番号も要ります。
ステップ2 4つの条件で絞る
同じ事業所・フルタイムなど4つの条件で絞り、残った人数を数えます(条件は後述)。
ステップ3 様式に書く
様式に書き、本人の署名をもらいます。誓約するのは会社です。
ステップ4 在留諸申請に添える
交付・変更・更新。8月20日以降は、いずれの申請でも提出します。
誓約書の書き方
記入する表は2つ。1つ目は本人の業務内容で、所属部署名、役職又は地位、具体的な職務内容、技能実習生や1号がいる場合はその違い。2つ目が対象者の一覧で、氏名(外国人なら在留カード番号も)・事業所及び所属部署名・役職又は地位・指導を受ける職務内容を5名分。枠が足りなければ追加します。
技能実習生・1号との職務内容の違い
手が止まるのは職務内容の違いでしょう。運用要領の本体側にも一文が入りました。「通常従事する業務が、技能実習生又は1号特定技能外国人の業務と同一であってはならず、指導業務、管理業務、又は自らの判断で専門的・技術的業務を行うとともに、特定産業分野ごとに定められている対象者数以上を指導していなければなりません」。
つまり:通常の業務が1号と同じであってはならず、そのうえで指導・管理・自らの判断による専門的な業務のいずれかを行い、分野ごとの人数を指導していることが要ります。
署名の欄と、記載が違ったとき
誓約するのは会社です。署名の語が付くのは本人だけで、会社側は名称と作成責任者の記載欄。提出書類一覧表は「※申請人の署名及び申請人が十分に理解できる言語での記載が必要。」としています。海外にいる候補者なら、翻訳と署名の往復を日程に見込んでください。
留意事項1は「…在留諸申請の許否に大きく影響するため、全て具体的に記載すること」。取消しと欠格事由の一文も、この留意事項の中にあります。
分野別の対象者数
| 分野 | 指導を受ける必要な対象者数 |
|---|---|
| 建設 | 2名以上 |
| 飲食料品製造業 | 2名以上 |
| ビルクリーニング | 2名以上 |
| 工業製品製造業 | 2名以上 |
| 造船・舶用工業 | 2名以上 |
| 宿泊 | 2名以上 |
| 農業 | 2名以上 |
| 自動車整備 | 1名以上 |
| 航空 | 空港グランドハンドリング区分は1名以上 |
| 外食業 | 記載なし |
| 漁業 | 記載なし |
出典: 参考様式第1-32号 末尾の「(参考)特定産業分野ごとの指導を受ける必要な対象者数」(2026年9月8日確認)。義務の文言があるのは運用要領側で、この表は様式上「(参考)」です。航空のように業務区分の単位で書いている分野もあります。
人数の定めが無いことと、書かなくてよいことは別です。様式は「…対象者が不在でも差し支えないが、当該対象者が在籍する場合は必ず記載すること」。
外食業の「2名以上」(技能測定試験の実務経験)
外食業は誓約書の人数の定めが無い一方、2号の技能測定試験を受けるには、2名以上のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督した2年間の実務経験が要ります。別冊は「また職場の状況やシフトの都合等により、常時2名以上いる体制でなくとも差し支えありません。」とも書いています。
対象者に数えられる人の4条件
留意事項3と4は、こう絞ります。「対象者については、2号特定技能外国人と同一の事業所に出勤し、原則同一の所属部署に所属する者であって、フルタイムで業務に従事する者に限る。」「在留諸申請時点で、他の2号特定技能外国人に指導を受けている者については記載しないこと。」
つまり:同じ事業所に出勤していない人、原則同じ所属部署にいない人、フルタイムでない人、別の2号に付いている人は書けません(事業所の線引きは後述)。
① 事業所
2号本人と同一の事業所に出勤していること
別の事業所の人は対象者から除く、と運用要領が明記
② 所属部署
原則として同一の所属部署に所属していること
※ 言い切っているのは「原則」まで。除く人の列挙には入っていない
③ 勤務時間
フルタイムで業務に従事していること
フルタイムでない人は対象者から除く、と運用要領が明記
④ 他の2号との重複
他の2号特定技能外国人に指導を受けていないこと
他の2号の指導を受けている人は除く、と運用要領が明記
例:3人を指導していて、対象者は0名
例)飲食料品製造業の工場。2号を目指すグエンさん(仮名)が3人を指導しています。フルタイム勤務ではないパートのAさん、隣の工場(別の事業所)で働くBさん、すでに別の2号の指導を受けているCさん。
図の①〜④に当てると、Bさんは①、Aさんは③、Cさんは④で外れます。グエンさんの対象者は0名。飲食料品製造業は2名以上なので、このままでは要件に届きません。
申請前のチェックリスト
- 8月20日以降に2号の在留諸申請を出す予定があるか
- 指導している人が、同じ事業所に出勤するフルタイム勤務か(所属部署も原則同じ)
- その人が他の2号の指導を受けていないか。外国人なら在留カード番号も書けるか
- 技能実習生や1号がいる現場なら、2号との職務内容の違いを書けるか
いつまでに何を決めるか
配置は、申請の直前には動かせません。実務経験の年数も分野で違い(飲食料品製造業・ビルクリーニングは2年、工業製品製造業は3年、建設は建設キャリアアップシステムの能力評価基準レベル3相当の就業日数)、日本語も外食業を含む6分野では今すでに2号の要件です(N3とCEFR B1の食い違いと分野別の一覧)。満たしてから対策を始めると、在留期限に間に合いません。
グエンさんの例で足りなかったのは、本人の技能ではありません。誰と同じ場所に、どんな勤務の人を、誰の下に置いてきたか。その積み重ねが対象者一覧の行数になります。
「同一の事業所」はどこまでか
「同一の事業所」の線引きは原文にありません。ビルクリーニングで、契約先のビルに常駐する班長と別のビルに入る作業員を同じ事業所と見てよいのかは、留意事項にも運用要領にも書かれていません。
確認できていないこと。8月20日より前に出して審査が続いている申請の扱いは、新旧対照表13ページに経過措置が見当たりません。フルタイムや「同一の事業所」の線引き、日本語の要件がいつの申請から適用されるかも原文にありません。いずれも管轄の地方出入国在留管理局への照会が要ります。実務経験と日本語は、11分野のうち別冊を開いた範囲(実務経験5分野・日本語7分野・2026年9月時点)です。建設の別冊に2号の日本語の記載はありませんが、分野別運用方針・別紙5はB1相当以上を定めています。
今から決めること
誰をいつ指導役に付けるかから決めるなら、その手順は「特定技能2号に『会社として』合格させる方法」に書きました。
社内に共有するなら、この3行。
1. 8月20日以降、2号の在留諸申請には参考様式第1-32号が要る。更新も同じ。
2. 書けるのは、同じ事業所・フルタイム・原則同じ所属部署・他の2号の指導下でない人だけ。多くの分野で2名以上が要る。
3. 誰を指導役に付けるかは配置の話。在留期限から逆算して今決める。
出典(21件)
- 出入国在留管理庁「2号特定技能外国人の業務内容について」(令和8年8月5日・周知文書・PDF・2026年9月8日確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の一部改正について(新旧対照表・令和8年8月20日・PDF・2026年9月8日確認)
- 出入国在留管理庁 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月・本体・PDF・2026年9月8日確認)
- 参考様式第1-32号「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」(Word・2026年9月8日確認)
- 出入国在留管理庁 特定技能関係の申請・届出様式一覧(様式の掲載ページ・2026年9月8日確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(更新履歴・2026年9月8日確認)
- 外食業分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和7年5月30日一部改正・PDF・2026年9月8日確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能」に係る提出書類一覧表 掲載ページ(在留資格「特定技能」・2026年9月8日確認)
- 「特定技能2号」に係る提出書類一覧表(在留期間更新許可申請用・令和8年8月20日改定・Excel・2026年9月8日確認)
- 「特定技能2号」に係る提出書類一覧表(在留資格認定証明書交付申請用・令和8年8月20日改定・Excel・2026年9月8日確認)
- 「特定技能2号」に係る提出書類一覧表(在留資格変更許可申請用・令和8年8月20日改定・Excel・2026年9月8日確認)
- 飲食料品製造業分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和8年8月28日一部改正・PDF・2026年9月8日確認)
- ビルクリーニング分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和8年8月28日一部改正・PDF・2026年9月8日確認)
- 工業製品製造業分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和8年6月25日一部改正・PDF・2026年9月8日確認)
- 航空分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和8年7月17日一部改正・2号にJLPT N3以上・CEFRのB1相当以上の判定が要る・PDF・2026年9月8日確認)
- 漁業分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和6年2月15日一部改正・2号にJLPT N3以上・CEFRの但し書きは付かない・PDF・2026年9月8日確認)
- 建設分野 特定技能外国人受入れに関する運用要領・別冊(令和7年1月31日一部改正・PDF・2026年9月8日確認)
- 特定技能の分野別運用方針 建設分野(別紙5・令和8年1月23日閣議決定・PDF・2026年9月8日確認)
- 特定技能の分野別運用方針 外食業分野(別紙16・令和8年1月23日閣議決定・PDF・2026年9月8日確認)
- 日本語能力試験(JLPT)公式「CEFRレベルの参考表示について」(N3は95点以上103点までがA2・104点以上がB1・2026年9月8日確認)
- JITCO「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書の提出について」(2026年8月17日・二次資料・2026年9月8日確認)
よくある質問
Q.対象者に書いていた人が辞めました。次の更新はどうなりますか?
様式は申請のたびに出します(交付・変更・更新のどの提出書類一覧表にも「○」で載っています)。更新の時点で条件を満たす対象者を書くことになります。欠けたまま更新を迎えたときの扱いは原文になく、管轄の地方出入国在留管理局への照会が要ります。
Q.指導している相手が日本人でもかまいませんか?
対象者一覧の項目は「対象者の氏名 ※外国人の場合は在留カード番号も記載」で、留意事項3・4も国籍に触れていません。飲食料品製造業の要領別冊も、指導・監督を受ける者は「日本人を含み、国籍は問いません」としています(こちらは試験の受験資格となる実務経験の話です)。
Q.対象者の在留カード番号は、どう集めればいいですか?
様式が求めるのは対象者が外国人の場合の番号です。集め方に定めは原文にありません。留意事項1が「全て具体的に記載すること」「在留諸申請の許否に大きく影響する」としているので、申請の直前に頼んで間に合うとは限りません。
更新履歴(4件)
- 2026年9月8日 — 公開
- 2026年9月8日 — 一次資料を読み直して6点を訂正(外食業の「常時2名以上いる体制でなくとも差し支えありません」の但し書き/対象者一覧に書く項目は氏名・在留カード番号・事業所及び所属部署名・役職又は地位・職務内容/建設の実務経験は年数でなく就業日数/航空は業務区分の単位/2号の要件に日本語能力試験N3以上を掲げる分野は6分野/2027年4月1日の読み方)
- 2026年9月8日 — 図解と写真を足し、本文を短くした。具体例(架空の1社)と、指導を受ける対象者の「同一の事業所」がどこまでを指すのかという未確認の論点を追加(事実の変更なし)
- 2026年9月9日 — 小見出しを足して目次から探せるようにし、30秒版の最後に次の行動を置いた。検索結果に出る説明文も短くした(事実の変更なし)
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