介護福祉士の「パート合格」とは — 外国人材の受験計画が複数年の積み上げに変わった
先に答え
- 介護福祉士国家試験は、第38回(2026年1月)から「パート合格」を導入しました。試験をA・B・Cの3パートに分けて判定し、合格基準を満たしたパートは翌年・翌々年の2回、受験が免除されます。
- 長らく「年1回・1月・一発勝負」だった試験なので、外国人スタッフの受験を支える施設にとっては、計画の立て方が根本から変わります。ただし、パート合格だけでは介護福祉士の資格は取れません。
- 特定技能の通算5年が迫っている人には、在留期間を最長1年延ばせる特例があります。5年目の試験を全パートで受け(前の年に合格したパートも含む)、1パート以上に合格し、総得点が合格基準点の8割以上であることに加え、会社と本人の学習計画などの要件もあります。手続きは合格発表の前から始まるので、後半の「延長の手続き」で順に説明します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入 | 第38回(2026年1月)から |
| 判定の単位 | A・B・Cの3パート(計125点) |
| 合格したパート | 翌年・翌々年の2回、受験が免除される |
| 資格の取得 | 免除の期限内に全パートで合格基準を満たし、登録したとき |
| 特定技能の在留期間 | 5年目の試験を全パートで受け、1パート以上に合格し、総得点が合格基準点の8割以上(第38回は52点以上)などの要件を満たせば、最長1年延長 |
出典: 社会福祉振興・試験センター「パート合格の導入について」、厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格…通算在留期間の延長に関する措置について」(記事末の出典欄)。
パート合格とは — 13科目を3つに分けて判定する仕組み
パート合格とは、筆記試験の13科目をA・B・Cの3パートに分け、パートごとに合否を判定する仕組みです。13科目は、4つの領域にまたがる12科目に「総合問題」を加えたものです。配点は1問1点で、計125点満点です。
| パート | 主な内容 | 配点 |
|---|---|---|
| A(午前) | 人間の尊厳と自立・介護の基本・社会の理解・コミュニケーション・生活支援技術 など | 60点 |
| B(午後) | こころとからだのしくみ・発達と老化・認知症・障害の理解・医療的ケア など | 45点 |
| C(午後) | 介護過程・総合問題(事例問題) | 20点 |
第39回の試験時間は、全パート受験の場合でAパート10時00分〜11時45分、B・Cパート13時40分〜15時35分(不合格パートのみの受験は別時間)。出典:社会福祉振興・試験センター(2026年8月27日確認)。
第39回からは、不合格だったパートだけを受け直せます。ただし制限があります。不合格のパートが複数あるとき、その一部だけを選んで受けることは認められていません。科目ごとの出題範囲と受験資格は「介護福祉士国家試験の内容と対策」にまとめています。
パート合格だけでは介護福祉士になれない
免除は資格ではありません。期限付きの貯金です。
- 合格したパート: 合格した年の翌年・翌々年まで、そのパートの受験が免除される。
- 国家試験の合格: 免除の有効期限内に、すべてのパートで合格基準を満たしたとき。資格の取得(登録)にはこれが必要。
- 期限切れのとき:免除が消え、そのパートを受け直すことになる。
1回の試験で全パートの基準を満たせば、従来どおりその回で合格です。パート合格が役立つのは、届かなかったときです。
受験計画は、複数年の積み上げに変わる
初年度にA・Bに合格し、翌年にCを仕上げる。そんな複数年の設計が現実的になりました。一発勝負の頃は、落ちれば全部やり直しだったので、「今年は記念受験、来年が本番」という計画は組めませんでした。外国人材にとっては大きな変化です。
外国人材の場合は、ここに通算5年という特定技能の在留期限が重なります。ただし、最長1年間の在留期間延長が可能とされる特例があります(厚生労働省の通知による)。前提は、通算5年の経過直前の試験で全パートを受けることです。そのうえで1パート以上に合格し、総得点が合格基準点の8割以上であることなどの要件を満たす必要があります。要件には、受入れ企業が本人とともに学習計画を作成して提出することも含まれます。
延長の手続きは、合格発表の前から始まる
延長は2段階で、準備は合格発表の前に始まります。要件を満たしているかを厚生労働省に確認してもらい、その結果をもって地方出入国在留管理局で在留期間の更新を申請します。順に並べると、次の4つです。
- 1. 5年目(通算5年の経過直前)の国家試験を、全パートで受ける。前の年までに合格したパートがあっても同じ。
- 2. 合格発表の前に、会社が本人と学習計画(別紙様式2)を作っておく。発表後に送る書類の1つで、計画の一部は本人の自署が要る。
- 3. 発表後すぐ、会社が厚生労働省へ確認依頼の書類を郵送する。送るのは、確認依頼書(別紙様式1)、「介護福祉士国家試験結果等について」の写し、在留カード表面の写し、学習計画の4点。
- 4. 厚生労働省から届いた結果確認通知書を添えて、在留期限が来る前に地方出入国在留管理局へ更新を申請する。
確認依頼の期限は、試験の回ごとに厚生労働省のページで示されます。第38回は2026年4月30日(消印有効)でした。登録支援機関に支援を委託していても、書類は雇用している会社がとりまとめて郵送します。持ち込みやメールは受け付けていません。
延長の要件となる総得点の基準は、第38回では52点以上でした。合格基準点64点の8割です。
入管への更新申請で出す書類は「特定技能2号の試験に落ちたら」で整理しています。介護に特定技能2号がないことと、5年問題の全体像は「介護に特定技能2号はありません」にまとめています。
第39回の申込受付は終了。次は第40回
第39回(2027年1月実施)の申込は、2026年9月2日で締め切られました。次は第40回です。日程は試験センターの公表待ちです。参考として、第39回の日程を下の表にまとめました。日程・受験料・様式は、回ごとに差し替わります。私たちは教材と模試を作る立場で、毎回の受験案内を読み込んでいます。過去の記事の日付をそのまま使わず、必ずその回の案内で確かめてください。
| 時期 | 手続き |
|---|---|
| 2026年7月22日〜9月2日(受付終了) | 受験申込(インターネット)。受験手数料20,510円の支払いもこの期間内 |
| 2026年12月11日 | 受験票の発送 |
| 2027年1月31日(日) | 筆記試験(全国35試験地) |
| 2027年3月23日 | 合格発表(合格基準点・正答も同日公表) |
| 2027年4月9日(消印有効) | 「見込み」受験者の確定証明書の提出期限(未提出は試験無効) |
出典: 社会福祉振興・試験センター「令和8年度 第39回試験」(2026年8月27日確認)。実務経験3年・実務者研修は試験実施年度の3月31日までに満たす「見込み」で申込可。
受付は約6週間しかありません。実務経験証明書などの主な書類は勤務先が作成するため、企業側の段取りが遅れれば、申込自体が間に合わなくなります。
計画が複数年になれば、学習も複数年続く
受験は免除で飛ばせます。知識は飛ばせません。人は覚えたことを忘れます。初年度に合格したパートの知識も、翌年のCパート(介護過程・総合問題)では事例の前提として問われます。
複数年の学習を支えるために、私たちは介護福祉士国家試験の合格プログラム(最短6か月〜・現在の日本語力によります)を提供しています。記憶定着アプリMonoxerと、記憶度(解答の履歴から推定した、憶えている度合い)などの学習ログにもとづく伴走を組み合わせたものです。どの科目の記憶が薄れているかをログで見ながら、免除期限から逆算して学習を配分します。
出典
- [1]社会福祉振興・試験センター「合格基準」「パート合格の導入について」(A・B・Cの区分と免除の仕組み・2026年8月27日確認)
- [2]社会福祉振興・試験センター「第39回介護福祉士国家試験『受験の手引』」(日程・受験料20,510円・見込み申込・PDF・2026年8月27日確認)
- [3]厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)による介護分野で『特定技能1号』の在留資格をもって本邦に在留する外国人の通算在留期間の延長に関する措置について」(社援発0121第10号・令和8年3月30日一部改正 社援発0330第27号・要件・提出書類・Q&A・2026年9月25日確認)
- [4]厚生労働省 同措置の概要(最長1年間の在留期間延長・PDF・2026年9月25日確認)
- [5]出入国在留管理庁「通算在留期間」(介護分野は厚生労働省の結果確認通知書を添える・2026年9月25日確認)
国家試験の水準を、1問で確かめる
計画を立てる前に、まず問題の水準を見てください。介護福祉士国家試験形式の模擬試験から1問抜粋します。解答すると、その場で正誤がわかります。
その場で体験
介護福祉士 国家試験 — 実際の模試から1問
生活支援技術 / 1問目(全1問)
よくある質問
Q.介護福祉士国家試験のパート合格とは何ですか。外国人の在留期間はどうなりますか?
試験をA・B・Cの3パートに分けて判定し、合格基準を満たしたパートは翌年・翌々年の2回、受験が免除される仕組みで、第38回(2026年1月)から始まりました。パート合格だけでは資格は取れません。特定技能1号で働く人は、5年目の試験を全パートで受けて1パート以上に合格し、総得点が合格基準点の8割以上(第38回は52点以上)などの要件を満たせば、在留期間を最長1年延長できます。
Q.パート合格だけで介護福祉士の資格は取れますか?
取れません。パート合格は、合格したパートの受験が翌年・翌々年まで免除される仕組みです。資格の取得(登録)には、免除の有効期限内にすべてのパートで合格基準を満たすことが必要です。
Q.パート合格の免除期限はいつまでですか?
合格した年の翌年・翌々年までです。期限内に残りのパートをそろえられなかった場合、免除は消え、そのパートを受け直すことになります。
Q.不合格だったパートだけを受け直せますか?
第39回からできます。ただし不合格パートが複数ある場合に、その一部だけを選んで受けることは認められていません。
Q.技能実習や特定技能の期間は実務経験に入りますか?
要件を満たせば算入されます。要件は、介護施設での従業期間が3年(1,095日)以上、かつ従事日数が540日以上であることです。実務経験ルートでは、実務者研修の修了も必要です。どちらも、試験実施年度の3月31日までに満たす見込みがあれば申し込めます。
Q.介護福祉士のパート合格で、特定技能の在留期間は延長できますか?
要件を満たせば、最長1年延長できます。5年目の国家試験で全パートを受け、1パート以上に合格したうえで、総得点が合格基準点の8割以上(第38回は52点以上)であることなどが要件です。会社は本人と学習計画を作り、合格発表後すぐに厚生労働省へ確認を依頼します。届いた結果確認通知書を添えて、在留期限が来る前に地方出入国在留管理局で在留期間の更新を申請します。
改訂履歴(5件)
- 2026年8月27日 — 公開
- 2026年9月24日 — Cパートに介護過程を追記し、在留延長の特例の出典を厚生労働省の措置ページに差し替え、第39回の申込締切を反映。節の書き出しを答えにし、パート合格の定義を1文で置いた。延長特例の文を分け、2号の試験に落ちた場合の取扱いと国家試験の内容の記事へのリンクを追加。本文を一文ずつ読み直し、延長の特例と実務経験の答えを、答えが先に来る順に直した
- 2026年9月25日 — パート合格による在留期間延長の手続き(全パート受験・学習計画・厚生労働省への確認依頼・入管での更新申請)を、厚生労働省の措置ページとQ&Aで確認して加えた
- 2026年9月30日 — 校正者による校正を反映(28か所)
- 2026年10月8日 — 冒頭に、導入時期・免除・資格の取得・在留期間の延長を並べた小さな表と、「パート合格とは何か・在留期間はどうなるか」のよくある質問を足した
次に読む
介護に特定技能2号はありません — 5年後も働いてもらう唯一のルート
2026年9月30日 ・ 約10分
特定技能人材の日本語教育、何を選べばいいか — 方法別の比較と「続く」設計
2026年10月8日 ・ 約13分
介護福祉士国家試験の内容と対策(外国人材向け)
2026年10月8日
特定技能2号の試験は難しいのか — 5分野の形式差と「難しさの正体」
2026年10月9日 ・ 約12分
記事一覧をすべて見る →