「特定技能2号に日本語試験は要らない」が古くなった — 2026年に5分野の要領別冊が改正
結論
- 「特定技能2号に日本語試験の要件はない」。そう書いてある記事を、いまでも見かけます。2026年9月16日に、2号がある分野の要領別冊を全部読み直しました。結果は逆でした。
- 2号で日本語能力試験(JLPT)N3以上が要るのは6分野です。外食業・飲食料品製造業・ビルクリーニング・工業製品製造業・航空・漁業。このうち4分野は、2026年の6月から8月にかけて別冊が改正されています。
2026年の3か月で、5分野の別冊が改正された
特定技能の日本語要件は、分野ごとの「運用要領別冊」というPDFで決まります。分野が16あって、それぞれ別のタイミングで改正されます。2026年に改正されたのは5分野でした。
改正が集まっている理由は、上流をたどると分かります。2026年1月23日に「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」が閣議決定されました。2026年に改正された5分野の別冊は、どれもこの閣議決定に言及しています。一方、外食業・漁業・建設の別冊には言及がありません。別冊が新しい方針を順番に取り込んでいる途中、という並びです。
この記事は「その改正でN3が入った」とは書いていません。前後を比べて確かめたのは飲食料品製造業とビルクリーニングだけで(2026年9月8日に確認)、ほかの分野は最終改正日と現行版の中身しか見ていないためです。分かることと分からないことを分けて書いています。
いま2号でN3が要るのは6分野
| 分野 | 2号の日本語試験 | CEFRの但し書き |
|---|---|---|
| 外食業 | JLPT N3以上 | なし |
| 漁業 | JLPT N3以上 | なし |
| 飲食料品製造業 | JLPT N3以上 | B1相当以上と判定された場合に限る |
| ビルクリーニング | JLPT N3以上 | B1相当以上と判定された場合に限る |
| 工業製品製造業 | JLPT N3以上 | B1相当以上と判定された場合に限る |
| 航空 | JLPT N3以上 | B1相当以上と判定された場合に限る |
出典: 出入国在留管理庁 分野別の要領別冊(2026年9月16日に2号がある分野を全部確認)。記載がないのは建設・造船・舶用工業・自動車整備・宿泊・農業・鉄道・自動車運送業・林業・木材産業。介護には特定技能2号がありません。
但し書きの有無は効きます。JLPT公式のCEFR参考表示では、N3の合格ラインは95点ですが、B1が付くのは104点以上です。95点で受かった人は、書類の上では「N3合格」でも「B1相当」にはなりません。分野別の要件と、2027年4月に予定されている変更は「特定技能2号の日本語要件は、分野で違います」に一覧があります。
N3の文字を数えると間違える — 1号の要件が混ざっています
別冊のPDFを開いて「N3」を検索すると、鉄道と自動車運送業でも見つかります。ただしこれは1号の話です。鉄道は運輸係員の業務区分、自動車運送業はタクシーとバスの運転者。どちらも1号でN3以上が要ります。2号の要件ではありません。
私たちも最初にこれで数え違えました。語を検索するのではなく、【2号特定技能外国人の技能水準及び日本語能力水準】という節と、<特定技能2号の場合>の確認書類の欄を読んで切り分けています。
自分で最新版を確かめる手順
制度が動いている以上、記事はどれも古くなります。1件だけ確かめたいときの手順を書いておきます。
- 出入国在留管理庁の運用要領のページを開き、分野別の表から該当分野の最初のPDFを開きます。リンク名はどれも「(PDF)」なので、表の左側の分野名を見ながらたどってください
- 1ページ目の「(制定履歴)」を見ます。いちばん下が最終改正日です。ここが古ければ、その分野はまだ新しい方針を取り込んでいません
- 本文の【2号特定技能外国人の技能水準及び日本語能力水準】を読みます。日本語の記載はここにあります。節そのものが無い分野もあります
- 最後に<特定技能2号の場合>の確認書類の欄を見ます。在留申請で実際に出す書類なので、ここに合格証明書の写しが挙がっていれば要件として動いています
特定技能総合支援サイト(ssw.go.jp)の分野別ページは、別冊の改正が反映されていないことがあります。食い違ったときは、在留申請の審査で使われる要領別冊を採ってください。
飲食料品製造業は、要件以外も変わりました
2026年8月28日の改正は、日本語要件だけの話ではありません。業務区分が「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2つに分かれ、技能試験の名前も「技能測定試験」から「評価試験」に変わりました。受け入れ中の人がいる企業は、社内の書類に残っている試験名が旧名のままになっていないか見ておくといいでしょう。
経過措置があります。2027年3月31日までに旧試験を受けて合格した人は、新しい試験に合格したものとみなされます。いま準備している人が受け直す必要はありません。
次に動くのは2027年4月
2027年4月1日から、2号の日本語能力を「試験(CEFR B1相当以上)で確認」とする省令が施行される予定です。どの試験の何点でB1相当を証明するかは未公表で、省令の公布待ちです。決まっていることと未公表のことは「特定技能2号にCEFR B1が必要になる(2027年4月予定)」で分けて整理しています。
いま記載のない分野も、この日を境にそろう方向です。建設のように別冊が2025年1月で止まっている分野は、今後の改正で入る可能性があります。半年に一度は最終改正日を見に行くくらいの頻度で十分だと思います。
出典
- 出入国在留管理庁 特定技能運用要領(分野別の別冊の一覧ページ・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 飲食料品製造業分野 要領別冊(令和8年8月28日一部改正・2号にJLPT N3以上・業務区分の分割・試験名の変更・経過措置・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 ビルクリーニング分野 要領別冊(令和8年8月28日一部改正・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 航空分野 要領別冊(令和8年7月17日一部改正・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 工業製品製造業分野 要領別冊(令和8年6月25日一部改正・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 外食業分野 要領別冊(令和7年5月30日一部改正・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 漁業分野 要領別冊(令和6年2月15日一部改正・2号の試験区分が「2号漁業技能測定試験」及び「日本語能力試験(N3以上)」・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 建設分野 要領別冊(令和7年1月31日一部改正・2号の日本語能力水準の記載なし・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 鉄道分野 要領別冊(令和8年8月28日一部改正・N3は1号の運輸係員の業務区分・PDF・2026年9月16日確認)
- 出入国在留管理庁 自動車運送業分野 要領別冊(令和7年7月15日一部改正・N3は1号のタクシー・バス運転者・PDF・2026年9月16日確認)
- 日本語能力試験 JLPT 公式サイト「CEFRレベルの参考表示について」(N3は95〜103点がA2・104点以上がB1・2026年9月8日確認)
- 出入国在留管理庁 令和8年3月27日資料 スライド6(2号の日本語能力水準を試験でCEFR B1相当以上と確認・令和9年4月1日施行予定・PDF・2026年8月9日確認)
よくある質問
Q.特定技能2号に日本語試験は必要ですか?
分野によります。2026年9月16日時点で、日本語能力試験N3以上が要件なのは外食業・飲食料品製造業・ビルクリーニング・工業製品製造業・航空・漁業の6分野です。建設など9分野の要領別冊には2号の日本語能力水準の記載がありません。介護には特定技能2号自体がありません。
Q.飲食料品製造業の2号にN3は必要ですか?
必要です。要領別冊(令和8年8月28日一部改正)の【2号特定技能外国人の技能水準及び日本語能力水準】に「日本語教育の参照枠」B1相当以上として日本語能力試験N3以上が挙げられ、在留申請の確認書類にも合格証明書の写し(CEFRのB1相当以上と判定された場合に限る)が挙げられています。
Q.「一部の分野だけN3が必要」と書いてある記事は間違いですか?
その「一部」が何分野かによります。2023年8月に2号が開放された当初は外食業と漁業が中心でしたが、2026年の改正で飲食料品製造業・ビルクリーニング・工業製品製造業・航空が加わり、現在は6分野です。改正日より前に書かれた記事は、内容が古くなっている可能性があります。
Q.鉄道と自動車運送業もN3が必要と聞きました。
その2分野のN3は特定技能1号の要件です。鉄道は運輸係員の業務区分、自動車運送業はタクシー・バス運転者について、1号で日本語能力試験N3以上の合格証明書が求められます。2号の日本語要件ではありません。
Q.飲食料品製造業の技能試験の名前が変わったと聞きました。
2026年8月28日の一部改正で、業務区分が飲食料品製造業と水産加工業に分かれ、試験名が「技能測定試験」から「評価試験」に変わりました。2027年3月31日までに旧試験を受験して合格した人は、新試験の合格者とみなされます。
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