外食業の特定技能、新規受け入れ停止 — 何が止まり、企業は何ができるのか
先に答え
- 2026年4月13日以降、外食業の特定技能1号の新規申請は原則として認められていません。海外から呼ぶための認定申請は不交付、国内で別の在留資格から切り替える変更申請は原則不許可です。
- 止まったのは「新規」だけです。すでに在留中の方の期間更新や、転職に伴う申請は通常どおり審査されます。
- 特定技能2号には、受入れ見込数(上限)の設定自体がありません。採用の軸は、『これから呼ぶ人材』から『今いる人材の育成』に移りました。
何が止まり、何が続いているのか
更新と転職は止まっていません。止まったのは新規の受け入れだけです。ここを取り違えると、「今いる従業員も帰国しなければならないのでは」という不要な不安が現場に広がります。まずこの区別を社内で共有してください。
| 申請の種類 | 扱い |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(海外から新たに呼ぶ) | 2026年4月13日以降に受理したものは不交付 |
| 在留資格変更許可申請(留学など国内のほかの在留資格から外食業1号へ) | 同日以降に受理したものは原則不許可 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更 | 外食業分野に係るものは不許可(一部の例外を除く) |
| 在留中の方の期間更新・転職等に伴う申請 | 通常どおり審査(止まっていません) |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)修了からの移行、既に特定活動(移行準備)の許可を受けている方 | 受入れ見込数の範囲内で順次許可 |
出典:出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(2026年8月11日確認)。
この記事は時事ページとして運用します。出入国在留管理庁・農林水産省の公表が変われば、更新履歴を付けて本文を改めます(最終確認:2026年9月24日)。
止まった理由は、1号の上限に届きかけたから
理由は受入れ枠です。受入れ見込数とは、1号で受け入れる人数の上限で、分野ごとに決められており、外食業は5万人です。在留者数は2026年2月末時点で約46,000人に達しており、出入国在留管理庁は「本年5月頃に受入れ見込数を超えることが見込まれる」として、受入れ上限の運用を始めました。令和8年(2026年)6月末の速報値では、外食業の充足率(上限に対する在留者数の割合)は98.1%です。
→ 図は横にスクロールできます
ほかの分野でも同じことは起こるのか
起こり得ます。受入れ見込数は分野ごとに決まっているからです。令和8年6月末の速報値では、充足率は飲食料品製造業が75.5%、建設が68.6%、介護が63.0%でした。全16分野の充足率は一覧ページにまとめています。
→ 特定技能1号 受入れ状況・充足率一覧(16分野・公式値)
企業が取れる経路は3つ
中心になるのは②です。
- ① 今いる1号人材の在留を守る。更新と転職は通常どおり動きます。まず全員の在留期限と通算年数を一覧にしてください
- ② 2号へ育てる。2号には受入れ見込数の設定がありません。1号の新規が閉じたいま、外食業で人数を保ち、増やすための制度上の経路は、主にここになります
- ③ 例外の経路を確かめる。技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)の修了者や、特定活動(移行準備)の許可をすでに受けている方は、見込数の範囲内で順次許可されます
外食業の2号には、評価試験に加えて日本語能力試験(JLPT)N3以上が必要です。N3が2号の要件なのは外食業を含む6分野で、そのうち飲食料品製造業・ビルクリーニング・工業製品製造業・航空は、2027年4月1日以降に求められ、CEFR B1相当以上と判定された場合に限ります(→ N3の落とし穴)。評価試験はCBT(パソコンで解く方式)の3択で、都合のよい日時を予約できます。
2号移行の逆算は、JLPTの日程が起点
起点は、JLPTの受験日です。JLPTは年2回(7月・12月)しかなく、結果は約2か月後に出ます。2026年12月の回の国内申込は9月3日に締め切られたので、これから計画するなら、次に受けられるのは2027年7月の回です。JLPTの申込は、会場の都合で受付期間内に締め切られることもあります。
- 1. JLPTの受験日を決める。申し込みそびれや1回の不合格は、半年単位の遅れに直結します。1号の通算5年の期限までに受からなかったときの取扱いは『特定技能2号の試験に落ちたら』にあります
- 2. 評価試験を前後に組む。CBTなので日時と会場を予約でき、不合格でも、試験日の翌日から45日たてば再受験できます。初回は「1回落ちても間に合う」時期に入れてください。
- 3. 実務経験を確かめる。「指導等実務経験」2年以上が必要です。受験者登録の際に、企業が実務経験証明書を出します(申込は企業マイページが起点)。数え方は『特定技能2号の要件は3つの層で確かめる』で分野ごとに整理しています。
- 4. 在留資格変更の期間を見込む。標準処理期間は1〜2か月です。書類がそろわない場合は、試験合格済み等を条件に、特定活動(在留期間6か月・就労可)への変更が認められることがあります。
試験の中身(科目別の配点・申込手順・出題タイプ)は、外食業2号試験の解説ページにあります。5年の期限そのものは「特定技能の5年後、どうしますか」で扱いました。準備を始める時期は「特定技能2号 育成ロードマップ 2026」にまとめています。
社内には、相手ごとに伝える中身を変える
会社から先に伝えましょう。こうしたニュースは、会社が伝えなくても、外国人スタッフの間で独自に広まります。
- 在留中の外国人スタッフへ。最初に「あなたの在留・更新・転職には影響がない」と明言する。止まったのは新規の受け入れだけです。
- 採用を計画している部門へ。海外からの新規の呼び寄せと、留学生など国内のほかの在留資格から外食業1号への切り替えは、当面は計画に入れられないと共有する。
- 2号候補のスタッフへ。2号には上限がなく、会社として合格を支援すると伝える。「5年で終わりではない」と分かれば、それが定着の材料になります。
停止のあと、国内にいる1号の取り合いが始まった
採れるのは、すでに国内にいる人だけになりました。マイナビグローバルの調べでは、停止後に国内の特定技能人材への求人数が約2.8倍に増えました。2026年7月に外食業で内定した人のうち、ほかの地域から東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・愛知の6都府県へ移った人は46.4%で、3月の31.9%から増えています。
転職の理由について、同社の社長は「今の職場では特定技能2号(取得)の機会がないと思って転職する人が結構いる」と話しています(時事通信 2026年10月8日)。転職は止まっていません。2号への道を会社が示せないと、育てた人ほど、2号を目指せる職場へ移っていくかもしれません。
人数は、今いる人がどれだけ長く働くかで決まる
新規の蛇口は閉まりました。店舗網を支える外国人材の総数は、今いる人にどれだけ長く、どれだけ上の役割で働いてもらえるかで決まります。2号は店長・リーダー級の管理を問う試験です。技能と日本語の両方を働きながら仕上げるので、毎日少しずつでも学習を続けられる仕組みが必要です。私たちが提供しているのは、営業の合間の学習を会社ぐるみで支える合格プログラム(最短3か月〜・現在の日本語力によります)です。記憶定着アプリMonoxerと、記憶度などの学習ログにもとづく伴走を組み合わせています。
出典
- [1]出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(停止の内容と例外・見込数5万人・2026年2月末約46,000人・2026年8月11日確認)
- [2]出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(充足率 外食業98.1%ほか16分野・令和8年6月末速報値・PDF・2026年9月24日確認)
- [3]時事通信「外国人材、都市部への転職急増 外食業、地方で人手不足拍車」(マイナビグローバル調べ:求人数約2.8倍・2026年7月の内定者の46.4%(3月31.9%)・2026年10月8日確認)
- [4]農林水産省 外食業分野における外国人材の受入れについて(2026年8月12日確認)
- [5]出入国在留管理庁 特定技能関係の特定活動(「特定技能2号」への移行を希望する場合・2026年8月12日確認)
- [6]日本語能力試験 JLPT 公式サイト(年2回の試験日程・2026年8月11日確認)
- [7]日本国際教育支援協会 JLPT 国内受付サイト(2026年第2回の申込受付終了・2026年9月24日確認)
外食業2号の試験は、どんな問題が出るか
外食業2号の模擬試験から、学科と実技(判断試験)を1問ずつ抜粋しました。実技は本番と同じく、イラストを見て答える形式です。その場で正誤が出ます。
その場で体験
外食業 特定技能2号 — 実際の模試から抜粋(実技はイラストつき)
学科 / 1問目(全2問)
よくある質問
Q.外食業の特定技能はいつから止まっていますか?
2026年4月13日以降に受理された新規の申請からです。在留資格認定証明書交付申請は不交付、国内で別の在留資格から切り替える変更申請は、原則不許可とされています。
Q.今雇用している外食業1号の従業員はどうなりますか?
影響ありません。すでに在留中の方の期間更新や、転職に伴う申請は通常どおり審査されます。止まったのは新規の受け入れだけです。
Q.受け入れはいつ再開されますか?
まだ公表されていません(2026年9月時点)。受入れ見込数は閣議決定等で見直されるため、公表があり次第この記事を更新します。
Q.特定技能2号にも受入れ枠の上限はありますか?
ありません。受入れ見込数(上限)が設定されているのは1号で、2号には設定自体がありません。
Q.外食業の2号には何が必要ですか?
次の3点です。評価試験の合格、日本語能力試験N3以上、指導等実務経験2年以上が必要です。JLPTは年2回(7月・12月)しか実施されないため、移行計画はJLPTの日程から逆算するのが現実的です。
改訂履歴(6件)
- 2026年8月12日 — 公開
- 2026年9月24日 — 充足率を令和8年6月末速報値に更新し、N3が外食業だけの要件ではないことと、2026年12月のJLPT申込締切を反映。一文を短くして節の書き出しを答えにし、受入れ見込数・充足率の説明を足した。2号の試験に落ちた場合の取扱いと育成ロードマップへのリンクを追加。本文を一文ずつ読み直し、長い修飾や括弧に詰め込んだ条件、線表・律速などの語を直して、CBT・記憶度などに説明を付けた。模試の抜粋の問題数を実際の数に合わせた
- 2026年9月25日 — 一次資料と1文ずつ照らし直し、3件を直した(4月13日以降の新規申請は受理されたうえで不交付・原則不許可となる扱いに合わせて「受け付けられていません」を「認められていません」に、CEFRの但し書きが付く分野に工業製品製造業・航空を足した、受入れ見込数の見直しを「5年ごと」と限っていた書き方をやめた)
- 2026年9月30日 — 校正者による校正を反映(21か所)
- 2026年10月4日 — 2号の日本語要件の適用時期(4分野は2027年4月以降)を運用要領別冊の注記で確認し訂正
- 2026年10月8日 — 停止後の国内での取り合い(マイナビグローバル調べの求人数と都市部への転職の割合・時事通信の報道)の節を追加
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