介護に特定技能2号はありません — 5年後も働いてもらう唯一のルート
先に答え
- 介護分野に特定技能2号はありません。「1号から2号へ」という一般論は、介護では使えません。
- 長期就労のルートはひとつです。介護福祉士国家試験に合格して、在留資格「介護」へ移行する。在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば、家族帯同も可能になります。
- 試験は年1回・1月だけ。受験には実務経験3年と実務者研修の修了が必要なので、5年の期限から逆算すると、動き出しは「今日から」が現実的です。
「介護も1号→2号」ではない理由
特定技能2号は、介護を除く分野に設けられた在留資格です。介護分野では、2号の代わりに国家資格「介護福祉士」と在留資格「介護」への道が用意されています。つまり介護分野で5年後も働き続けるための答えは、他分野のような「2号試験を受ける」ではなく「国家試験に合格する」です。
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「特定技能2号 介護」で検索すると、他分野の2号解説を介護にそのまま当てはめた記事が今も見つかります。制度の分野差を確認せずに書かれたものなので、介護の計画には使わないでください。
在留資格「介護」になると、何が変わるか
在留資格「介護」に移ると、在留期間の更新に上限がなくなり、扶養を受ける配偶者・子が「家族滞在」の対象になり、仕事に「介護の指導」が加わります。出入国在留管理庁の公表情報から、特定技能1号と並べます。
| 項目 | 特定技能1号 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で原則5年以内 | 5年・3年・1年又は3月(更新の上限なし) |
| 家族の帯同 | 基本的に認めない | 在留資格「家族滞在」の対象(扶養を受ける配偶者・子) |
| 従事できる業務 | 相当程度の知識又は経験を要する業務 | 介護又は介護の指導 |
| 前提となる資格 | 分野ごとの技能試験等 | 介護福祉士(登録証) |
出典: 出入国在留管理庁 在留資格「介護」「家族滞在」「特定技能」の各ページ(2026年8月12日確認)。
「介護の指導」が入るので、ユニットリーダーとして後輩を指導する働き方が、在留資格の活動の範囲に、はっきり含まれています。施設側から見れば、5年で帰国する前提の人材ではなく、リーダー職まで任せられる中核人材として育成計画を立てられるということです。
なお在留資格「介護」は、令和2年(2020年)4月1日の基準改正で、介護福祉士資格の取得ルートを問わず認められるようになりました。実務経験ルートで国家試験に合格した特定技能1号・技能実習出身の方がこの資格に進めるのは、この改正によるものです。
受験資格: 「実務経験3年」の中身
実務経験3年とは、従業期間1,095日以上かつ介護等の業務に実際に従事した日数540日以上のことで、受験にはこれに実務者研修の修了が加わります(第39回受験の手引)。数え方に細則があるので、候補者選びの前に押さえてください。
- 実務経験3年以上 — 産休・育休などの期間は従業期間に含まれますが、従事日数には数えません。在職3年でも従事日数が足りない場合があります。
- 実務者研修の修了 — カリキュラムは原則450時間。介護職員初任者研修の修了者は320時間に短縮され、厚生労働省の資料では定員の約9割が通信課程です(医療的ケアの演習など一部は通学)
- 「見込み」での申込が可能 — どちらも試験実施年度の3月31日(第39回は2027年3月31日)までに満たす見込みなら申し込めます。
- 特定技能1号としての介護業務の従事期間も実務経験に含まれます。第37回(2025年1月)から実技試験は廃止され、試験は筆記のみです。
実務者研修には費用と人繰りの支援策もあります。受講費用には上限20万円の貸付制度があり、修了後に介護福祉士として2年間継続して従事すると返済が全額免除されます。受講者がシフトを抜ける間の代替要員の雇上げ経費も、地域医療介護総合確保基金による支援(国費補助率2/3)の対象です。費用を理由に先送りする前に、都道府県の窓口で確認する価値があります。
パート合格で「複数年の計画」が立てられるようになった
パート合格とは、試験をA・B・Cの3パートに分けて判定し、合格基準を満たしたパートの受験を翌年・翌々年まで免除する仕組みで、第38回(2026年1月)から始まりました。第39回からは、不合格だったパートだけを受け直す受験もできます(不合格パートが複数ある場合に一部だけを選ぶことはできません)。
年1回・一発勝負だった試験が、複数年の積み上げに変わりました。これは外国人材の受験計画にとって大きな変化です。ただしパート合格は「期限付きの貯金」であって資格ではありません。免除期限内に全パートをそろえられなければ、そろわなかった時点でやり直しになります。
特定技能の在留期限が迫っている方への特例もあります。通算5年の経過直前の試験で全パートを受験し、1パート以上の合格と総得点が合格基準点の8割以上などの要件を満たすと、最長1年間の在留期間延長が可能とされています(厚生労働省の通知による)。要件には、受入れ企業が本人とともに学習計画を作成し提出することが含まれます。
第39回の逆算カレンダー
第39回の筆記は2027年1月31日で、申込は2026年9月2日(消印有効)に締め切られたため、これから準備する人は次の第40回が対象です(日程は試験センターの公表で確認してください)。受付は約6週間しかなく、証明書類は勤務先が作成するものが中心なので、企業側の段取りがそのまま受験可否を左右します。下は第39回の公表日程です。
| 時期 | 手続き |
|---|---|
| 2026年7月22日〜9月2日(受付終了) | 受験申込(インターネット)。受験手数料20,510円の支払いもこの期間内 |
| 2026年12月11日 | 受験票の発送 |
| 2027年1月31日(日) | 筆記試験(全国35試験地) |
| 2027年3月23日 | 合格発表(合格基準点・正答も同日公表) |
| 2027年4月9日(消印有効) | 「見込み」受験者の確定証明書の提出期限(未提出は試験無効) |
出典: 社会福祉振興・試験センター「令和8年度 第39回試験」(2026年8月12日確認)。日程は回ごとに変わるため、翌回以降は最新の案内をご確認ください。
試験の中身(13科目とパートの対応・11科目群の0点ルール・過去問の実測分析)は介護福祉士国家試験の解説ページに詳しくまとめています。5年の期限そのものの整理は「特定技能の5年後、どうしますか」で解説しています。
施設として、何から始めるか
最初にやることは、次の2つの確認です。①対象者の従業期間・従事日数が受験年度の3月31日までに満たせるか(勤怠実績で確認)。②実務者研修をいつ受講させるか(修了が申込年度に間に合わなければ、受験は丸1年遅れます)。この2つで受験年度がほぼ決まります。
そのうえで学習です。介護福祉士国家試験は出題13科目・どの科目群も0点にできないルールで、対策の分量は特定技能2号試験の約2倍。年1回しかないぶん、失敗のコストも大きい試験です。働きながらこの範囲を学びきれるかは、毎日の少しずつの学習を続けられる仕組みが大きく左右します。私たちは記憶定着アプリMonoxerと記憶度などの学習ログにもとづく伴走で、この長期戦を施設ぐるみで支える合格プログラム(介護は最短6か月〜・現在の日本語力によります)を提供しています。
出典
- [1]出入国在留管理庁 在留資格「介護」(活動範囲・在留期間・提出書類・令和2年4月1日改正・2026年8月12日確認)
- [2]出入国在留管理庁 在留資格「家族滞在」(対象在留資格に「介護」・2026年8月12日確認)
- [3]社会福祉振興・試験センター「第39回介護福祉士国家試験『受験の手引』」(実務経験1,095日/540日・見込み申込・PDF・2026年8月11日確認)
- [4]社会福祉振興・試験センター「合格基準」「パート合格の導入について」(2026年8月12日確認)
- [5]厚生労働省 実務者研修の受講支援資料(450→320時間・通信約9割・貸付20万円・代替要員支援・PDF・2026年8月12日確認)
- [6]厚生労働省「介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)による介護分野で『特定技能1号』の在留資格をもって本邦に在留する外国人の通算在留期間の延長に関する措置について」(社援発0121第10号・令和8年3月30日一部改正 社援発0330第27号・要件・学習計画・2026年9月24日確認)
国家試験の形式で解いてみる
下は、私たちが提供している介護福祉士国家試験の模擬試験からの抜粋です。本番と同じ5肢択一で、その場で正誤が出ます。「どんな日本語で、何を聞かれるのか」を確かめる素材にしてください。
その場で体験
介護福祉士 国家試験 — 実際の模試から2問
生活支援技術 / 1問目(全2問)
よくある質問
Q.介護分野に特定技能2号はありますか?
ありません。特定技能2号は介護を除く分野に設けられています。介護分野の長期就労ルートは、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ移行することです。
Q.特定技能1号や技能実習の期間は、実務経験3年に数えられますか?
特定技能1号としての介護業務の従事期間は実務経験に含まれます。実務経験ルートは資格取得ルートを問わないため、技能実習出身の人もこのルートで受験しています。数え方は従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上で、実際に従事した日数だけが従事日数になります。
Q.在留資格「介護」になると家族を呼べますか?
扶養を受ける配偶者と子が在留資格「家族滞在」の対象になります。特定技能1号では家族の帯同は基本的に認められていないため、大きな変化です。
Q.パート合格だけで介護福祉士になれますか?
なれません。パート合格は合格したパートの受験が翌年・翌々年まで免除される仕組みで、有効期限内に全パートで合格基準を満たしたときに国家試験の合格者となります。
Q.特定技能の5年が試験の前に切れそうな場合は?
通算5年の経過直前の試験で全パートを受験し、1パート以上の合格と総得点が合格基準点の8割以上などの要件を満たすと、最長1年間の在留期間延長が可能とされています。受入れ企業が本人とともに学習計画を作成・提出することが要件に含まれます。
改訂履歴(3件)
- 2026年8月12日 — 公開
- 2026年9月24日 — 在留延長の特例の出典を厚生労働省の措置ページに差し替え、第39回の申込締切を反映。節の書き出しを答えにし、第39回の段落を結論(これから受けるなら第40回)から書いた
- 2026年9月30日 — 校正者による校正を反映(18か所)
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