日本語教育に人材開発支援助成金は使えるか — 定額制訓練の要件と、2026年度で区切られる期限

先に答え
- 人材開発支援助成金の定額制訓練は、eラーニングなどサブスク型研修の契約料を、中小企業で60%(大企業で45%)助成します(厚生労働省パンフレット)。
- 厚生労働省のパンフレットは「日常会話程度の語学の習得のみ」を目的とする講習を対象外の例に挙げ、試験対策の日本語講座は例に挙げていません。
- 日本語の講座が対象になるかは、管轄の労働局が計画届や訓練カリキュラムを見て判断します(厚生労働省パンフレット)。
- 定額制訓練を含む人への投資促進コースは2027年3月末(2026年度末)までの期間限定で、計画届は契約期間の初日の1か月前までに労働局へ提出します(厚生労働省パンフレット)。
人材開発支援助成金の定額制訓練とは(外国人の日本語研修は対象か)
定額制訓練は、定額制サービスを使って行う訓練です。厚生労働省のパンフレットによると、定額制サービスとは、同じ料金で複数の訓練を受けられるeラーニングか同時双方向型(講師とリアルタイムでやりとりする形)の通信訓練で、1訓練あたりの対象経費がはっきりしないものです。eラーニングは、LMS(受講管理システム)などで進み具合を管理できるものに限られます。ほかの学び方との費用の違いは日本語教育の方法別の比較へ。
助成率と上限はいくら?
助成率は、契約料の60%(中小企業)または45%(大企業)です。賃金要件等を満たすと、75%・60%に上がります。上限は1人1か月あたり2万円です。
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費の助成率 | 60% | 45% |
| 賃金要件等を満たした場合 | 75% | 60% |
| 助成の上限 | 1人1か月あたり2万円 | 1人1か月あたり2万円 |
| 受講時間中の賃金 | 助成なし | 助成なし |
| 同じ人の受講回数 | 1年度3回まで | 1年度3回まで |
出典: [1]。賃金要件は、訓練のあと賃金を5%以上上げること等です。受講回数の「1年度」は、支給申請日を基準に、4月1日〜翌年3月31日で数えます。
例)中小企業が、1人月5,000円のサービスを10人分・12か月契約したとします(数字は仮定)。契約料は60万円。全員が要件を満たせば、助成は60%の36万円です。1人1か月あたりでは3,000円。2万円の上限には届きません。
訓練の要件(パンフレットの6項目)
パンフレットが挙げる訓練の要件は6つあり、日本語の講座を使うときに判断が分かれるのは、そのうち⑤の職務関連教育訓練です。
- ① 定額制サービス:定額制サービスによる訓練である。
- ② 業務命令・労働時間中:業務上義務付けられ、労働時間中に受講させる。本人が自発的に受けただけでは対象外。
- ③ OFF-JT:通常の業務から離れて行う訓練である。
- ④ 事業外訓練:社外の教育訓練機関の講座である。計画届を提出する時点で、その機関が講座の概要・連絡先・申込み方法を、その機関のホームページに載せていること。SNSやメールだけの募集は不可。
- ⑤ 職務関連教育訓練(5割要件):仕事に関わる専門的な知識・技能を身につける訓練である。講座全体の5割以上がこれに当たること。
- ⑥ 実施期間1年以内:訓練の実施期間(原則は契約期間)が1年以内。1年を超える契約は、初日から1年ごとに申請する。
受講者の側にも要件があり、支給申請の時点で、修了した講座の標準学習時間が合計10時間以上なければなりません(10時間要件)。数えられるのは職務関連の講座だけです。
助成の対象は、計画届で受講予定者として届け出た人です。届け出ていない人も受講はできます。ただ、支給の対象には入りません。所定の期日までに変更届を提出すれば、対象に加えられます。

日本語の講座は、どこでつまずく?
つまずくのは講座の目的です。パンフレットには「助成対象とならない実施目的」の表があり、語学はそこに1回だけ出てきます。趣味教養型の例として挙がる「日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習」です。
特定技能2号の技能試験や日本語能力試験(JLPT)の対策講座は、パンフレットにも支給要領(助成金の支給の細かな基準を書いた資料)にも、名指しした例がありません。職務関連教育訓練に当たるかどうかは、労働局が計画届や訓練カリキュラムを見て判断します。分野ごとに要る日本語試験は特定技能2号の日本語要件にあります。
参考になるのが、同じ表にある資格の例です。法令で事業主に実施が義務付けられた講習は、原則として対象外です。ただし、続くなお書き(補足の一文)に「労働者にとって資格を取得するための法定講習等である場合は除く」とあります。この除外の例として挙がっているのが「介護福祉士試験を受けるための訓練」です。一方、講習なしで受けられる資格試験は、受験そのものが対象外です。
- 「対象外」と例示されている
- 日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習(趣味教養型)
- 資格試験の受験そのもの。講習なしで受けられるもの
- 法定講習の行の補足
- 事業主に義務付けられた講習は対象外
- ただし資格を取るための法定講習等は除く。例:介護福祉士試験を受けるための訓練
- 名指しした例がない
- 特定技能2号の技能試験の対策
- 日本語能力試験(JLPT)の対策。計画届のカリキュラムを見て判断される
パンフレットが語学で対象外と例示しているのは、日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習です。資格を取るための法定講習等はなお書きで対象外から除かれ、特定技能2号やJLPTの対策講座には名指しの例がありません。
表には「職務に直接関連しない訓練」と、接遇・マナーのような「共通スキル訓練」も並びます。原則は対象外。ただし定額制訓練では、DX化・グリーン化を進めるために必要な訓練なら、どちらも対象になります。共通スキル訓練は、新入社員・中堅職員・管理者といった階層ごとに、入社時や昇格時などに行うものも対象です。
いつまでに、何を提出する?
計画届は、契約期間の初日の1か月前までに労働局へ出します。その前に社内の準備があり、訓練のあとに支給申請があります。
| 手続き | いつまでに |
|---|---|
| 職業能力開発推進者(社内で能力開発を進める担当者)を選び、事業内職業能力開発計画(社内の人材育成の計画)を作って社員に知らせる | 計画届を出す日まで |
| 計画届を労働局へ出す | 契約期間の初日の1か月前まで |
| 支給申請 | 原則、訓練の実施期間が終わった翌日から2か月以内 |
出典: [1]。
期限を過ぎてから計画届を提出すると、原則は助成の対象外です。ただし、遅れて提出した場合の扱いがあります。提出日の1か月後を契約の初日とみなし、そこから最終日までを日数の割合で助成します。
4月1日
契約が始まる
計画届はまだ出していない
5月1日
計画届を労働局へ出す
ここまでの期間は対象外
6月1日
提出の1か月後を、契約の初日とみなす
ここから最終日までを日数の割合で助成
契約の最終日
例)4月1日に始まった契約で5月1日に計画届を出すと、助成の対象は6月1日から契約の最終日までです。4月と5月の分は対象外です。
2026年度まで
人への投資促進コースは「2022年~8年度の期間限定助成」。2027年度以降の扱いは、確認した2つの資料には書かれていません
出典: 厚生労働省「人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)」(令和8年8月3日現在)
人への投資促進コースは、2026年度(2027年3月末)までの期間限定の助成です。2027年度以降の扱いは、パンフレットにも支給要領にも書かれていません。
申し込む前に、教育訓練機関へ聞く3つのこと
- 標準学習時間は、受講案内に書かれているか。10時間要件は、あらかじめ受講案内などで決められた標準学習時間で数えます。Monoxer GOの場合: 講座ごとの標準学習時間を講座一覧に載せています。
- 受講者ごとに、どの講座をいつ修了したかを示せるか。数えられるのは修了した講座だけです。Monoxer GOの場合:修了の基準は講座一覧に載せています。修了日を示す書類の出し方は、計画届を出す前にご相談ください。
- 講座全体のうち、職務関連の講座は何割か。対象外の講座と分けて契約できる場合、助成されるのは職務関連の分だけです。Monoxer GOの場合: 講座一覧では、職務に関連する講座と日本語能力試験の対策講座を別の表に分けて載せています。
講座そのものの比べ方は、試験対策の選び方と質問リストにまとめました。
Monoxer GOは、分野別の教材と本番の形式に合わせた模試を記憶定着アプリMonoxerに載せて提供しています。プレミアムプランでは講師が伴走し、記憶度などの学習ログを会社と一緒に見ながら進めます。期間はいまの日本語力によりますが、最短3か月〜、介護福祉士は最短6か月〜です。このプログラムが助成の対象になるかは、管轄の都道府県労働局にご確認ください。費用の組み立ては資料請求・ご相談でご案内しています。
出典
試験で問われる日本語を、1問だけ
講座を選ぶ前に、試験でどんな日本語が問われるかを見ておくと、講座の中身を比べやすくなります。日本語能力試験N3の模擬試験から、語彙と聴解の2問を載せます。
その場で体験
日本語能力試験N3の模試から2問(聴解は音声つき)
文字・語彙 / 1問目(全2問)
よくある質問
Q.人材開発支援助成金は外国人社員も対象ですか?
パンフレットが受講者に求めているのは、申請する事業主の雇用保険適用事業所で雇用保険の被保険者であることです。国籍についての定めは、パンフレットにも支給要領にもありません。日本語の講座が対象になるかは講座の目的で分かれ、判断するのは管轄の都道府県労働局です(出典: [1]・[2])。
Q.定額制訓練の申請はいつまでですか?
計画届は、契約期間の初日の1か月前までに労働局へ提出します。支給申請は、原則として訓練の実施期間が終わった翌日から2か月以内です。定額制訓練を含む人への投資促進コースは令和4〜8年度(2027年3月末まで)の期間限定で、2027年度以降の扱いはパンフレットにも支給要領にも書かれていません(出典: [1]・[2])。
Q.外国人社員の日本語研修に、人材開発支援助成金は使えますか?
講座の目的と要件によって決まります。日常会話程度の語学の習得だけを目的とする講習は、対象外と例示されています。ほかの要件を満たし、職務に必要な知識・技能を身につける訓練と認められれば、対象になり得ます。判断は管轄の都道府県労働局なので、計画届を提出する前に相談してください。
Q.社員が休日に自分で勉強した分も数えられますか?
数えられません。定額制訓練は、業務命令として労働時間中に受けさせる訓練が対象です。業務命令で受けさせたうえで、本人が自発的に受けた分があっても、直ちに対象外にはなりません。ただし、その時間は10時間要件に計上できません。
Q.途中で辞めた社員の分はどうなりますか?
原則、対象外です。ただし自己都合退職など、事業主の責めによらない理由(会社に責任のない理由)の場合は、10時間要件を満たしていなくても、その社員の全契約期間分の経費が対象になります。
Q.複数の事業所でまとめて契約したら、どこに申請しますか?
原則として、主たる適用事業所の労働局です。主たる適用事業所とは、そのサービスの利用者が最も多い事業所のことです。ほかの事業所の分も含めて、その労働局にまとめて手続きします。同じ契約で別の事業所から重ねて申請すると、不正受給になるおそれがあります。
改訂履歴(3件)
- 2026年9月24日 — 公開。一度で読み取りにくい文(主語や何を指すかが抜けた文、否定や条件が重なった文)を直し、各見出しの最初の文で問いに答えるよう並べ替えた
- 2026年9月25日 — 冒頭の要点を1文ずつに分け、コースの期限(2027年3月末)と計画届の期限(契約初日の1か月前)を入れた。訓練の要件6項目を要件名つきのチェックリストにし、2つの図を一覧に組み直して図の後に中身を文で書いた。教育訓練機関へ聞く3つのことに、Monoxer GOの場合の答えを添えた。「外国人社員も対象か」「申請はいつまでか」をよくある質問に加えた(パンフレット詳細版・支給要領 R8.8.3で確認)
- 2026年9月30日 — 校正者による校正を反映(32か所)
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